『kawawarawa之弐』


10.
いきなり呼び出されて面食らう。
「今日は給料が出たのよ。」
まばゆい灯りと口元の肉色が僕を幻惑させた。



11.
ありがとう、楽しかったよ。
大事な時間を無駄にさせちゃったかな。
だからもう、手伝わなくてもいいからね。



12.
きっと彼女は見つけたのだ。
あの淵の底、黒い隙間を。
あそこにこそ、母の表情を曇らせる何かがあるのだ。



13.
ああ帰らせて、、、っていうのは聞いてもらえないみたいね


14.
何かがいる。呼んでる。
近づいちゃだめだ。

でも、、、



15.
あなたはこんな冷たい水の中で何をしているの。
いじめられたの。



16.
やっぱりいた!




17.
きてくれた?

ばかね、あぶないのに。
ごめんなさい・・
ありがとう・・



18.
知ってる?
会ったことがある。
こんなふうに漂いながら、声を聞いた、記憶・・。



19.
彼が取り込まれちゃう。
血の縁?あの子のため?
これも運命ってわけね。OK。受け入れるわ。
だから今は、彼を帰してやって。



20.
冷たく濁った澱みから差し出された手が、僕を求める。
さびしかった。会いたかったと、泣いている。
違う。僕らが帰るのはあっちだ。



21.
西日が頬に熱い。帰ってきた?
頭から思考が引き剥がされたような痛み。
できれば今は、なにも思い出したくないな。


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