『kawawarawa之弐』
![]() 22. 「あなたとの時間を大切にしたいの」 そう言う彼女のために力を得られるならば、僕は神様を信じよう。 あの日以来、なぜかそんな気になる。 |
![]() 23. この体に流れる古の呪縛が、今も未来もあなたを苦しめないように。 あなたの血を私にも流してください。 |
![]() 24. 相応な季節の訪れを感じた時、僕は髪を切り、そしてなぜかいつも早足でせっせと蜜を運んだ。 そこには陽だまりの匂いが満ちていた。 |
![]() 25. この土地の空気を吸い水に触れるほどに、染み入るようにわかることがある。 日々育まれる小さな存在が、私の血をより濃密に染めてくれるおかげでもあるだろう。 |
![]() 26. 宵の河原にたたずむ君を眺める。 始まりはこの川からだった。 いつかここを離れても、きっとまた還ってきて、最後はこの土になるのだろう。 そう言うと、少し寂しげに微笑んだ。 |
![]() 27. 「あたしがお母さん治しちゃるね!」 成長はいつでも驚きね。 それがかなわなくても、いつでもきらきらの目をしててくれれば、それだけで嬉しいよ。 |
28. 「ありがとう」 君の声? 静かな夏の日の病室には、遊びつかれて眠ってしまったチビの寝息が小さく聞こえていた。 ![]() |
![]() 29. 大丈夫よ。 いつもつながってるから、だいじょうぶ。 |
おしまい |