OGI一夜
"コイノマホウ"





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「……ふぅっ」

 恥ずかしさと興奮とが入り混じった、不思議な衝動がわたしをつき動かします。わたしは両脚をもっと大きく開き、なるべくいやらしく見えるように腰をくねらせ、ぼうっとした瞳で斑目さんを見つめます。

「わたしの……ここに、斑目さんの……を……くだ、さい」

 霞がかかった視線の先で彼が、さっきあんなに激しく達したとは思えないほど再び興奮しきった自分自身に、いつのまにか準備していたゴムをゆっくりと装着しています。

「斑目さぁん……来て、くださいっ」

 結局、部屋の灯りは消さずじまいでした。
 煌々と照らされたホテルの部屋でわたしは、自ら両足をおおきく開いた体勢で今、一晩だけの恋人がわたしにその想いのたけを吐き出すのを期待満面で待っているのです。
「大野さん、じゃ、行くね」
「ん……っ」

 おずおずと自分の手で支えながら、狙いを定めています。先端がわたしの中心に触れ――それだけでまた達してしまいました――すっかり準備の整っているそこは、さしたる抵抗もなく斑目さんを受け入れてゆきます。
「ふ……っう」
「んっ……んんっ」

 ずむ、という軽い衝撃とともに、斑目さんがわたしの中に入りました。その感触で、また一回。
 両手両足で、斑目さんを抱きしめます。腿に力を入れると、彼がさらに深く入り込んでくるのが判ります。

「動いて……いいすか」
「んっ……は、い……っ」
 ぐんっ、ぐうんっ。最初は恐る恐る、そして次第に強く早く、腰を打ちつけます。クッションのよく効いたふかふかのベッドが、わたしたちの動きに合わせて波打ちます。
「んっ、んんっ、……ふうっ」
「……う……っは、ぁうんっ、ふうんっ」
 互いの快感をかみしめるあえぎ声と、動きのはざまで酸素を求める呼吸音とが絡み合い、静謐で淫猥な混声合唱が部屋に響きます。ベッドのきしみで拍子をとりながら、時には早く時には遅く、そして激しく、そしてひそやかに。
 斑目さんがこんなに上手だとは想像していませんでした。初めてで、おそらく体温のある女体なんか触れたこともないはずの彼の脳裏には今、これまでクリアした幾多のゲームがリプレイされているのでしょうか。


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