『kawawarawa』

33、
34、

「 はぁ はぁ はぁ はぁ 」
35、
「渡河の途中で攻撃に合いまして、お互いに負傷したとです。
 彼がそれを持っとったもんで縛り合って川に逃げました。
 中には溺れた者もおりましたが、我々は不思議なことに・・・
 笑わんでつかさいよ・・・その、
 魚どもが押し上げてくれたとですよ。

 何とか岸に逃れて助かりましたが、彼は深手で・・・

 コウジとは同郷やったけん、連れて帰りたかったです。すんまっせん。」


 
(名も無き川柱の童へ
 我逝けし後も変わらずに、我が古里を守られよ。
 残すものも持たざれば、ただ思いの宿るを形見として届く。
 忘らざれば消ゆること無し。
 この身は土に還るとも、共に逢うたあの時は永遠と誓う。)
 
36、
「 カナエっ、川には行くな!
流さるるぞ! 」





「    手紙はもう来んの?  」
37、
「 手紙やら・・・もう来ん・・・

  あんたがあっちに行ってコウちゃん戻してよ! 返しいよぉ! 」



「 吾はここから離れることはできん。


  あれはもう吾を忘れたの?
  もうナマズどもも消えてしもうた。
  吾も消えるの?


  会いたい。
  会いたいよぉ・・・。 」
38、
 エ - ン  エ - ン

「 カ ナ エ
  カナエ!
  気が付いたか・・


   ほら ぼーずも心配しちょったぞ。 」
39、
「今度は上の郷にも水が来ちょうき、米はいかんやろうな。」
「あの・・・」
「・・川柱は倒れて沈んでしもうた。」
「ハジメさん・・・」
「なあ、カナエ

 今は何も考えんでいいき。
 今はぼーずと二人でゆっくりしちょけ・・・な。

 オレがその、、」
「もしもし、病室でタバコはご遠慮くださいな。」
40、
「けほけほ。  はいタバコ。
 じいちゃん好きだったもんね。

 ねぇ、あたしが言うのも変だけど
 おばあちゃんと父さんを守ってくれてありがとう。
 じいちゃん、男前だね。


 さて、休みも今日までだ。
 アキちゃんち行って来るよ。」


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